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武田塾 御茶ノ水本校

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【古典作品】『栄花物語』|「3分でわかる!」シリーズvol.18

こんにちは。
御茶ノ水本校講師谷田部です。
今回は「栄花物語」についての解説を書いていきたいと思います。

1)誰でもでも分かる『栄花物語』
作者:未詳(おそらく女性)
成立時期:正編は長元年間(1028~1037)頃、
続編は寛治6(1092)年頃
ジャンル:歴史物語

『栄花物語』藤原道長の栄華を中心に描いた歴史物語です。同じ藤原氏を描いた『大鏡』とは違って、女性の手によって編年体で書かれており物語性が強いです。

ー豆知識ー
2000年代のセンター試験では一度も扱われていません。

2)登場人物は、どんな人?
登場人物①藤原道長
プロフィール:966~1028年 全盛期には娘を天皇に嫁がせ、娘と天皇の間に生まれた子供を天皇とし、裏から摂政・関白として政治を操った。藤原実資の『小右記』に記されている、「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の…」の詩が有名。

登場人物②藤原伊周
プロフィール:974~1010年 道長の甥。道長と関白の地位をめぐって政争に敗れ、大宰府に左遷されたことはよく知られている。

関連する人物
藤原兼通、藤原兼家、一条天皇、三条天皇、彰子、嬉子、威子、等。

3)あらすじ
59代宇多天皇の時代の治世から書き起こし、道長の摂関政治や、道長と伊周の政権争いを中心に宮廷の華やかな生活や行事を描いています。正編は道長の死で終了し、続編は頼通や彰子の死を描きつつ、73代堀川天皇の即位で物語が締めくくられます。

4)『栄花物語』は男性陣を超絶美化した話?
本作品は作者が(おそらく)女性であり、女性向けに書かれている物語であるため、男性達への評価はとても盛られている印象を受けます。
例えば、「御かたち整ほり、太り清げに、色合ひまことに白くめでたし。かの光源氏もかくやありけむと見奉る。」は、現代語訳だと「ご容姿は端整で、ふっくらとし、さっぱりとした美しさがあり、肌の色は本当に白く素晴らしい。あの光源氏もこのように美しかったであろうかと見申し上げる。」といった具合です。

5)作品の評価と歴史的意義
正史として編纂された六国史の最終作である『日本三代実録』の後を継ぐことを目標に書かれています。

『源氏物語』を意識した優雅な和文体で書かれていることに加え、道長の栄華が中心に描かれていることもあって、一見華々しいという印象を受けます。しかし、望月の詩を詠んだ後の道長の病による苦しみなども描いており、哀愁や悲嘆も含んだ豊かな物語です。

同じく藤原氏を取り扱った『大鏡』と比較すると、批判精神が乏しく、物語性を重んじたあまりに史実との齟齬が多いことに加え、後半はその物語性も薄くなっていることから、歴史書としても、文学作品としても『大鏡』より一段低い評価をされることが多いです。

しかし、『栄花物語』の真の歴史的意義は他にあります。当時、歴史書というのは漢文で書かれるものであり、女性が読むことは念頭に置かれていませんでした。そんな中で、「仮名を用いた女性向けの歴史物語を完成させた」点は注目に値します。また、「歴史と文学を結合させた物語風の歴史書という新たな文学の先駆となったこと」、そして「『大鏡』をはじめとする『四鏡』の下地となったこと」には大きな歴史的意義があるといえるでしょう。

6)さいごに
『栄花物語』を簡単にまとめますと、3点重要なポイントがあります。
1.11世紀の藤原氏全盛期の作品
2.藤原道長の栄華に焦点を当て、編年体で記述し、女性向けに仮名を使った
3.物語風の歴史書の先駆となった

おわり
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これまでの「3分でわかる!」シリーズ

【古典作品】vol.1『古事記』
【古典作品】vol.2『大鏡』
【古典作品】vol.3『万葉集』
【古典作品】vol.4『土佐日記』
【古典作品】vol.5『蜻蛉日記』
【古典作品】vol.6『枕草子』
【古典作品】vol.7『竹取物語』
【古典作品】vol.8『住吉物語』
【古典作品】vol.9『和泉式部日記』
【古典作品】vol.10『枕草子』
【古典作品】vol.11『伊勢物語』
【古典作品】vol.12『平家物語』
【古典作品】vol.13『十六夜日記』
【古典作品】vol.14『風土記』
【古典作品】vol.15『大和物語』
【古典作品】vol.16『玉勝間』
【古典作品】vol.17『曽根崎心中』

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