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武田塾 御茶ノ水本校

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【古典作品】『宇津保物語』|「3分でわかる!」シリーズvol.22

「宇津保物語」をはじめからていねいに

こんにちは。
御茶ノ水本校講師小沼です。
今回は「宇津保物語」についての解説を書いていきたいと思います。

⑴誰でもでも分かる『宇津保物語』
作者:未詳(源順など複数の作者によって作成)
成立時期:10世紀後半ごろ(平安時代中期)
ジャンル:長編物語

ー豆知識ー
宇津保(うつほ)とは空洞の意味で、主人公とその母が住んでいた大杉の洞窟に由来する。

⑵登場人物は、どんな人?
主人公:藤原仲忠(ふじわらのなかただ)
プロフィール:母とともに大杉の空洞(うつほ)に住んでおり、琴の名手。

登場人物①清原俊蔭(きよはらのとしかげ)
プロフィール:遣唐使。仲忠の祖父。唐に渡る途中に波斯国(ペルシア)に漂流。そこで七仙人に琴を習い、なん風、はし風などの名琴を携えて帰国。娘(仲忠の母)に琴の秘曲を伝授して亡くなる。

登場人物②貴宮(あてみや)
プロフィール:源雅頼の九女で絶世の美女といわれている。東宮の強引な求婚により、その妃になり、数多くの求婚者を失望させた。

⑶あらすじ
序「俊蔭」
第一部「藤原の君」〜「沖と白波」
第二部「蔵開」〜「国譲」
第三部「楼の上」
に分けることが出来る

序:清原俊蔭の漂流
俊蔭は唐へ渡る途中、波斯国に漂流した。そこで天人から琴の秘曲を習い、帰国後、娘(仲忠の母)にその秘曲を伝授して亡くなった。その後、娘は藤原兼雅と結婚し仲忠を生むが落ちぶれてしまい、母子は大杉の洞窟に住むことになる。やがて、琴をめぐる数奇な運命によって母子は兼雅と再会を果たし幸福になる。

第一部:貴宮をめぐる争い
絶世の美女である貴宮を、春宮(皇太子)、仲忠、源涼(みなもとのすずし・仲忠のライバル)、源実忠、源仲純、上野宮、三春高基など十数人が求婚する。求婚者たちが次々と脱落する中、仲忠と源涼は見事な琴の勝負を繰り広げたが、結局貴宮は春宮に入内し、藤壺と呼ばれるようになる。

第二部:皇位継承争い
仲忠は女一宮と結ばれ、娘・犬宮(いぬみや)をもうける。政界では、皇位継承争いがおこり、貴宮の第一皇子が東宮(皇太子)となる。

第三部:琴の伝授と仲忠一族の繁栄
仲忠は、娘の犬宮へ琴を伝授する。犬宮は嵯峨院と朱雀院の二人の上皇にその腕を披露し、深い感動を与える。その後、音楽によって仲忠一族は繁栄する。

⑷作品の特徴と後世への影響
主人公仲忠とそのライバル源涼が琴の勝負を繰り広げる場面に代表されるように、当時の貴族の教養であった琴が作品の鍵になっています。余談ですが、「この二人のどちらが好みか」という議論が当時女性の間で盛んだったようで、後に『枕草子』でも二人の優劣論が語られています(ちなみに清少納言は仲忠派の様子)。

『竹取物語』の影響を受けており、多くの男性に求婚される貴宮のキャラクターにもそれが色濃く見られます。なお、『源氏物語』の登場人物・玉鬘(たまかずら)は貴宮を意識したといわれています。

作品を通したテーマは「芸術の永遠性」であり、幻想的な雰囲気もかもしつつ、貴族から庶民まで様々なひとびとを写実的に描いています。また、文学史的には日本最古の長編物語という地位にあります。これらの写実性と長編性は、後の『源氏物語』へと継承されました。

⑸さいごに
『宇津保物語』を簡単にまとめますと、3点重要なポイントがあります。
1.平安時代中期(10世紀後半ごろ)成立
2.日本文学史上最古の長編物語
3.『源氏物語』への影響

おわり
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これまでの「3分でわかる!」シリーズ

【古典作品】vol.1『古事記』
【古典作品】vol.2『大鏡』
【古典作品】vol.3『万葉集』
【古典作品】vol.4『土佐日記』
【古典作品】vol.5『蜻蛉日記』
【古典作品】vol.6『枕草子』
【古典作品】vol.7『竹取物語』
【古典作品】vol.8『住吉物語』
【古典作品】vol.9『和泉式部日記』
【古典作品】vol.10『枕草子』
【古典作品】vol.11『伊勢物語』
【古典作品】vol.12『平家物語』
【古典作品】vol.13『十六夜日記』
【古典作品】vol.14『風土記』
【古典作品】vol.15『大和物語』
【古典作品】vol.16『玉勝間』
【古典作品】vol.17『曽根崎心中』
【古典作品】vol.18『栄華物語』
【古典作品】vol.19『とはずがたり』
【古典作品】vol.20『増鏡』
【古典作品】vol.21『日本書紀』

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