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【古典作品】『風姿花伝』|「3分でわかる!」シリーズvol.26

「風姿花伝」をはじめからていねいに

こんにちは。
御茶ノ水本校講師Mです。
今回は「風姿花伝」についての解説を書いていきたいと思います。

1)誰でもでも分かる『風姿花伝』
作者:世阿弥
成立時期:応永15(1408)年ごろ
ジャンル:能楽論書(能の理論書)

2)よくわかる解説
「そもそも世阿弥って誰よ?」という方のために、簡単に世阿弥の経歴を説明します。
世阿弥は14世紀後半から15世紀前半にかけて活躍した能役者・能作者です。同じく能役者であった父・観阿弥に連れられて幼少から舞台に立ち、12歳の時、足利義満(室町幕府3代将軍)の目にとまって以来、庇護をうけるようになりました。能作者としても才能を発揮し、当時の貴族・武士たちの好みを能に反映して、古典文学を素材に歌舞中心の洗練された芸術性の高い能を作り上げました。

 

「風姿花伝」は、世阿弥が父・観阿弥の教えを基に、能の修行法、心得、演出、演技や美学などについて、世阿弥自身の視点から解説した能の理論書です。いうなれば能のハウツー本ですが、日本伝統の美学の古典としての地位にもあり、海外でも評価を受けています。

 

世阿弥は、能が理想とすべき美は「幽玄」(奥深いこと。趣が深く、味わいがつきない、上品な優美さ。)であるとし、その幽玄さが舞台の上で現れることを「」とよびました。
「花」は、観客が能を見て美しいと思う感動であると同時に、役者が観客をひきつける芸の魅力のことでもありました。その「花」を得るため、役者は日々稽古に励まなければならないと世阿弥は説いています。

3)初心、おぼえていますか
「『風姿花伝』って能の本なのか~。俺には関係ない本だな~」と思われる人もいるでしょう。実は、「風姿花伝」の中に、私たちが日ごろよく聞く(むしろ聞かされる?)表現があります。何か分かるでしょうか?

 

答えは「初心忘れるべからず」です。
学校の先生や部活のコーチ、習い事の先生に言われたことのある人は多いのではないでしょうか。
「あー、知ってる知ってる。『始めた頃の気持ちを忘れずに、モチベーションを保て』って意味でしょ?」と思われた方、実はちょっと違います。

 

世阿弥のいう「初心」とは、「未熟な初心者だった頃のみっともなさ」なのです。
努力して芸や技が上達しても、時々自分が初心者だった頃を思い出すことで、「あんなみじめな自分には戻りたくない」とさらに努力を積み重ねる原動力になります。

 

さらに世阿弥が言うには、この「初心」は一つだけではないようです。芸を極めていく各段階で、それぞれの「初心」があります。「中級レベルになった時の初心」、「上級レベルになった時の初心」というのも存在するのです。その各段階の「初心」を覚えておくことで、芸の豊かさが増すのです。

 

そして最後に、世阿弥は「老後の初心を忘れるべからず」と説きます。「その道の第一人者になっても、それにおごらず、限りなく芸をみがけ」ということです。

 

「初心忘れるべからず」とは、このように「未熟な自分を忘れず、常に向上心を持て」という意味なのです。こうしてみると、「風姿花伝」は単なる能の理論書ではなく、芸一般の心得を説くものでもあるといえるでしょう。また、芸に限らず、スポーツや勉学の分野でも参考になるのではないでしょうか。

4)歴史的背景と影響
そもそも能が大成したのは室町時代に入ってからです。中国から伝わった民衆芸能と日本古来の芸能とが融合した猿楽と、田植えの神事芸から発達した田楽が交流して生まれたのが能です。その能について書かれたのが『風姿花伝』ですが、単なる技術のハウツー本ではなく、美や芸術の神髄にせまろうとした奥深さがあります。言い換えれば、精神面での本質的な追究が求められるほど芸能が成熟していた、ということでもあります。

 

そして、世阿弥が作り上げ、『風姿花伝』に残した能のスタイルは今日まで継承されています。

5)さいごに

『風姿花伝』を簡単にまとめますと、3点重要なポイントがあります。
1.作者は世阿弥
2.北山文化に属する(足利義満のころの文化)
3.能の理論のほか、芸の心得や美学も説いた

おわり

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